こんにちは、よっぷです。話題の著作権侵害問題、「ダウンロード(DL)違法化」対象範囲見直しについて、昨日の記事と重なる部分も多いなと思ったので簡単にまとめてみます。
こんな記事、『法学者ら84人「ダウンロード違法化」に緊急声明 「海賊版対策に必要な範囲に限定せよ」』が出ていました。
「 私的利用目的でのダウンロードが違法となる対象範囲を見直し、規制対象を音楽や動画のみの現状から漫画など著作物全般に拡大することを検討している文化審議会著作権分科会の報告書に対し、法学者や弁護士を中心とした84人と1団体が連名で、「さらに慎重な議論を重ねることが必要」とする緊急声明した」とのこと。
元となった政府の動きをみていきましょう。
スクショ、リツイートもNGに?
基本的にこの動きは「漫画村」のような海賊版サイトの取り締まりを意識してのものです。この対応について以前から政府の文化審議会著作権分科会による検討が進められてきました。
で、問題になっているのは2月13日に公表された、その検討に関する報告書。
1章では海賊版のまとめサイト、つまり漫画村のようなサイトを「リーチサイト」とし、それらサイトへの罰則をどうするか、民事・刑事でどのような求刑ができるか、といった対策について、議論の経過がまとめられています。
そして2章の「ダウンロード違法化の対象範囲の見直し 」が問題となっている部分です。
ご承知のように、既に違法にアップロードされた著作権のある映像・音楽コンテンツのダウンロードは刑事罰の対象となっています(知らなかった人は気を付けましょうね)。
それで、今度は漫画だったり、雑誌、写真集、文芸書、学術論文のような静止画やテキストをベースとしたコンテンツ、ゲームやビジネスソフトなどのプログラムについても、対象を広げようと検討してきた、と。
著作権分科会の言い分としては、違法アップロードはつぶしてもつぶしても湧いてくる、海賊版も取り締まりが難しいとのこと。
①削除されたファイルを自動で再掲載するシステムがある
②サイトを閉鎖させてもサーバーやドメインを変更して運営が継続される
③新規サイトも次々と生まれること
④使用されているサーバー等や運営者が海外に所在する
――などからアップロード者・サイト運営者への削除要請等や法執行には限界がある旨が指摘されている。
また,静止画やテキスト等は,音楽・映像と比較しても気軽にアップロードすることができるため,悪質な海賊版サイト等以外にも,汎用的な掲示板や,ブログ・SNSを含め,多様な場所に大量の違法ファイル・情報が掲載されていると考えられるところ,それらを個々に見れば影響は軽微からも知れないが,総体としては権利者の利益を相当程度害している可能性もある。
それで、違法アップロードされたコンテンツのダウンロード、つまりユーザー側にも罰則を設けようというのが今回の検討内容です。
もちろん報告書では、研究活動への影響、創作活動・引用・批評等への影響、パロディ・二次創作等への影響、適法コンテンツのスクリーンショット等の際の写り込み――などの問題点も指摘されています。
ですが、検討結果においては、このような記述となっています。
「少なくとも民事については,録音・録画と同様の要件の下,対象範囲を著作物全般に拡大(対象行為を複製全般に拡大)していくことが有力な選択肢となるものと考えられる」
ふむふむ。違法アップロードされた画像をスクリーンショットしたり、複製したり、印刷したりするのも、民事で訴えられる可能性がある法整備を進めていくということですね。
え???
これって結構ヤバくないですか?
これ、例えば、こんなケースもあるでしょう。
- ツイッターで他人のツイートをリツイートしたら、アイコンが著作権侵害しているものだった。
- 次の販促企画に使いたいキャラクターの、公式じゃない画像を社内用参考資料としてパワーポイントに貼り付けた。
- 画像取り込みで刺繍ができるミシンを使って、アンパンマンの刺繍をした。
これらもダウンロードや複製行為ですよね?いやー、これ以外にも色々ありそうです。上記の例が、本当に違法化の対象になるのかは分かりませんが、可能性はある。犯罪者ばかりの世の中になるのではないでしょうか。
やはりリテラシーが欠如
昨日の記事(バイトテロ問題を考えてみる、飲食業とリテラシーの課題)でもリテラシーの欠如、その教育の難しさについて触れてみましたが、こちらの方が難しい問題ではないでしょうか?
こんな記事『「スクショ違法化」方針を決めた文化審議会著作権分科会の委員の8割がツイッターをやっていない』 もありましたが、そもそもこの検討会の委員のリテラシー自体怪しいものです。キチンとした懸念の指摘はありましたが、やはりデメリットへの想像力が欠如しているとしか思えない。
そして私が一番懸念するのは、誤って、ダウンロード・複製してしまうであろう子どもの問題。うっかり、で犯罪者になってしまう訳です。
海賊版のマンガ1冊をダウンロードする。これは万引きです。しかし、今のままの法改正が進むと、 違法アップロード画像が紛れ込んだサイトをスクショしてしまうのと、万引きが同列になってしまうかもしれない。どこまでがOKでどこまでが違反なのか?その線引きも難しい。これを誰が教えられるでしょうか?私は難しいと思います。
逆にアップロードする、リーチサイトを作る馬鹿に対するリテラシー教育も必要です(アップローダーは日本人に限らないかとは思いますが)。総じて、日本のリテラシー能力の低さが、根本にあるのではないでしょうか。