こんにちは、よっぷです。今日は「こんまり」人気から見る、消費のあり方の変化について考えてみたいと思います。片付け名人で知られる「こんまり」こと近藤麻理恵さん。1月から「こんまり」が米国の家庭を訪問し、片付けの仕方を教えるテレビシリーズKonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』(Tidying Up with Marie Kondo)が公開され、米国を中心に人気を博しています。どうして今、彼女が支持されているのでしょうか。
「ときめき」で判断する片付け法が話題に
簡単に「こんまり」さんのこれまでを振り返ってみましょう(※wikipediaを参考)。リクルートグループの会社を経て、コンサルタントの道へと入った「こんまり」さん。整理収納術や片付けの方法をレッスンするようになります。
転機は2010年12月末の著書『人生がときめく片付けの魔法』(サンマーク出版)の発売でしょう。100万部を超えるベストセラーとなり、各種メディアで引っ張りだことなりました。14年には結婚し、拠点を米国に移しますが、彼女の本は世界40カ国以上で翻訳・出版。15年には米『TIME』誌の「最も影響力のある100人」2015年版artist部門で選出されています。
片付け名人としてメディアに登場する人はこれまでにもいましたが、彼女の違いは、捨てる捨てないの判断を「ときめく」かどうかで決めること。その対象と向き合うことで、それが自分に「ときめき」を与えてくるものかどうかを 見つめ直すのです。それは自分自身、自分の本質を見つめ直す行為にもなる。必要/不必要、有益/無益という価値基準ではなく「ときめき」を持ってきたところに彼女の新しさがあったということです。
実際には他にも色々価値基準はあるのですが、基本的には「ときめき」を大事にする。その「こんまりメソッド」と言われるこの片付け術には、個人的にも影響を受けました。数年前に引っ越しをした際に断捨離を行いましたが、その時に「こんまり」さんの本を参考にしました。普段の片付けと違って、片付けが楽しかったのを覚えています。
「ときめき」=Spark Joy!
「こんまり」さんがグローバルに知られていく中で、各言語への翻訳が行われていった訳ですが、まず英語への翻訳が実に見事でした。
一番重要な「ときめく」は、“spark joy”と訳しています。「ときめく」は日本語独特の表現ですので、なかなか適切な単語がないと思いますが、実際に見事な表現を当てているなぁと思いました。
「spark」は「火花」、または「火花が散る」という意味。そして、「joy」は「幸せ」や「幸福」という意味です。単純に「be impressed」など「感動する」という単純な訳を当てず、「幸せがはじける」という表現を用いた。なかなかオシャレじゃないでしょうか。翻訳家さんグッジョブ!って感じです。この訳が当てられなかったら、もしかした今の「Konmari」人気はなかったかもしれませんね。
Netflixのドラマは社会現象に
もともと認知度、影響力があった「こんまり」さんですが、今年に入って公開されたNetflixのテレビドラマは社会現象になっています。
I need to KonMari! 動詞になったこんまりに聞く、世界を驚かせた「片付けの精神」 (Forbes Japan)
動詞になるってすごいですね。ググると同じ感覚で、「こんまりる」が使われているというようなものです。上記の記事では、米国だけでなく、世界中で「こんまり」が受け入れられていることを伝えています。
実際にドラマも観てみましたがなかなか面白い。日本のバラエティや情報番組とは作りが違うなと思いました。昔見た「こんまり」さんの番組は、片付け前と後で如何にキレイになったかを見せるビフォア/アフターの面白さでしたが、Netflixのドラマでは「こんまり」メソッドの本質にフォーカスする。どうモノに向き合うかということを通じて、自分自身を見つめ直し、思考自体まで変化してしまうという人間ドラマに焦点を当てています。
モノを所有しないことの有益性が認識されてきた?
では、どうして今「こんまり」さんが注目され、支持されるのか? これに関しては色んな方が分析しています。アメリカ人の好きな自己啓発とプロテスタント的価値観によるものだとか、東洋的な精神性へのあこがれだとか。
色々な要素が絡み合ってのことだとは思いますが、個人的にはやはり、消費のあり方が変化していることとリンクしているのかなと思うのです。
ここ数年、シェアリングエコノミーが一般化し、モノを所有しない生き方が評価されるようになっています。物的資産として今まで代表的だった家や自動車ですら、所有するのではなくサービスとして利用するものに変わってきています。
グローバル化の進展や、通信環境の変化で、どこでも仕事・生活できるようなっている。移動に対する障壁もなくなって、今や一つのアドレスに留まり続けること、もしくは物的資産があるが故に移動できないこと、それ自体がリスクに変わってきているような傾向もあるかもしれません。
その中で、「こんまり」メソッドは、自分にとって何が大事かを気付かせてくれ、同時に本質的なものだけ残して自分の“重さ”を解消してくれる。時代に合った生活環境を整えるための方策として求められているのではないでしょうか。ミニマリストにはならなくても、物質的に軽い方が良いみたいな考え方が浸透してきた感があります。
20年前では、きっと「こんまり」メソッドは、ただもったいないと言われて支持を得ることはなかったでしょう。所有しない、“軽く”生きるという有用性が、2010年代も終盤となって認識されてきた、もしくはそういう時代に変わってきたということなんだろうなと思います。
Netflixの「こんまり」さんドラマは面白いのでぜひ観てみてくださいね。
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