こんにちは、よっぷです。今日は飛行機の話。 ちょっとビックリなニュースがありました。
「エアバス、超大型機A380の生産打ち切り発表」
http://www.afpbb.com/articles/-/3211140?cx_part=top_topstory&cx_position=3
・航空機メーカー大手のエアバスが超大型機A380の生産打ち切りを発表
・エミレーツ航空が発注数を減らしたことを受けてのもの
・同型機の引き渡しは2021年で終了する
総2階建て旅客機はかなりデカい
A380ってご存知でしょうか。私は仕事で海外に行くことも多く、今日乗る飛行機はどのタイプだろうな?なんてそれが楽しみになるくらい、飛行機好きです。
A380の”A”はエアバス社(Airbus)のAです。飛行機のメーカーは米国のボーイング社とフランスのエアバス社がシェアを2分していて、国際線に使われる機材のほとんどがこの2社の飛行機となっています(軍用などの飛行機は知識がないので、この記事は基本的に民間旅客機の話となります)。エアバスの飛行機はA380、A320などありますが、Aをアタマに付けて、あとは300番台の数字で型が分けられています。ボーイングの場合は、Bを付けて、その後に700番台の数字が来ます。B777、B787、B747なんかが有名かな。
それでA380がどういう飛行機かと言えば、総二階建ての超大型機。座席数は520席ほど。ボーイングの長距離対応旅客機B777の大きいサイズのものがだいたい220~270席ほどですから、相当A380が大きいということが分かってもらえるかと思います。空港でみると、その大きさに改めて驚く時があります。こんな大きいものが空を飛ぶってどんな理論なんだろうと、不思議な気持ちになりますよね。
ボーイングは2階建ての飛行機は作っていません。“ジャンボ”と呼ばれたB747は先頭部分が2階建てとなっていましたが、現在は生産を停止し、今はほとんど運航されておりません。今2階建て旅客機を作っているのはエアバスだけです。
2007年に初めて市場に投入され、現在まで300機を超える受注があります。規模感が分かりにくいかもしれませんが、中型機の330、340、350型機が合計3,000機以上、小型機のA320が14,000機以上となっていますから、多くはないのかなという印象です。
http://www.airbusjapan.com/presscentre-jp/orders-and-deliveries-status-jp/
10年以上かけて300機、しかも半分近くがドバイのエミレーツ航空の発注でした。しかもここ数年は受注を受けていない。受注残もほとんどがエミレーツのものです。そのエミレーツが発注を減らすというのですから、生産中止も致し方無いのかもしれません。
コスパの良くないA380
では何故、A380の販売は芳しくなかったのか。飛行機の値段もあると思いますが、総じてフライトのコスパが良くなかったのかなと。飛行機はエンジンを回して飛ぶことができる訳で、燃料はエンジンを回すために使います。上で挙げたB777、A330、340、350などはエンジンが2つなのですが、A380はエンジンが4つ、大量の燃料を使わなければなりません。1フライト当たりのコストのうち、燃料費は最大と半分以上になるとも言われており、A380を1回飛ばす経費はかなりのものとなります。
それに、座席を埋めるのも結構大変です。飛行機によく乗る人だったら、スカスカな状況のフライトを経験した人もいるでしょう。3列シートを独り占めするなんて状況は良くあります。適切な路線、適切な時間帯にA380を投入すれば、儲けることもできますが、外れてしまうと厳しい。競合が同じ路線・時間帯にサービスを投入してくれば、需要が奪われることもあります。毎フライト500席以上を埋めるのは相当な営業努力が必要でしょう。
ANAも3機発注。これから引き渡し
エミレーツ以外への引き渡しはほとんど終わっていますが、皆さんの知っている会社で終わっていない会社があります。それは全日本空輸、つまりANAです。ANAはA380を3機発注しています。
私は当初から、若干ANAのA380発注に否定的でした。ちょっと見栄のような感を受けてしまったのです。A380を発注しているのは、エミレーツ、シンガポール航空、ルフトハンザ航空、エールフランス、大韓航空など世界でも大手の航空会社ばかり。ANAのA380発注は、それらの会社と張り合っていこうと、背伸びしているような感じに見えていました。
ANAのA380は3月に初号機が引き渡される予定です。ANAは5月にもハワイ路線にA380を投入します。ハワイ路線はドル箱なので、売上は立つかなとは思いますが、総合的なコストはどうなるのかなと気になるところです。
飛行機の場合、整備などの仕組みも型によって大きく異なるし、部品もそうです。パイロットもすべての飛行機を操縦できる訳ではなくて、それぞれの型で免許が必要。関わるスタッフのトレーニングも必要ですね。ですからA380用に、別途いろいろなものを用意しなければならないのです。
3機だけのために用意するコストが負担にならないか。しかも生産停止で補修部品を生産するメーカーも少なくなるでしょう。A380の生産停止を悲しんでいるのは飛行機ファンじゃなくて、ANAかもしれません。