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バイトテロ問題を考えてみる、飲食業とリテラシーの課題

こんにちは、よっぷです。

飲食店のバイトテロ問題、ここ1~2週間ずっと報道を賑わせていますね。最初はそこまで大きな問題と見てなかったのですが、これだけ報道されて思うことも出てきたので、少し思考をまとめてみたいと思います。

問題点①チェーン店のきびしさ

バイトテロ問題にはいくつか論点があると思います。私が気になるのは、飲食業の難しさと、ネットリテラシーの問題です。

飲食業ですが、私も学生時代に何店舗か飲食店でバイトをした経験があります。シフトに融通が利きそうなチェーン店には長く勤めていました。バイトの数も多く、週1~2回でもOKとのことでしたので、かなり気楽に働いていました。

そこのお店は社員さんはホールが3人、キッチンが3人。定休日はなく、だいたいの営業日はどちらも2人ずつで回します。11時~24時のお店でしたが(上のレストランは夜のみのお店でした)、社員さんは毎日12時間くらい働いていたんじゃないでしょうか?数年前に飲食店の過労問題が表面化し、今はいくぶん改善しているかとは思いますが、チェーン飲食店の社員さんは非常に厳しい環境だというのは変わらないと思います。

飲食のお仕事は接客も調理も楽しかったし、レストランというのは非常にエキサイティングな職場だとは思います。ですが、やはり毎日辛そうな社員さんの顔を見ていたので、そちらの世界に進もうとは全く考えませんでした。辞めていく社員さんも多く見ました。

多少、働き方改革等で環境は改善しているかもしれません。ですが、当時を振り返る限り、利益を維持したまま、社員さん1人当たりの勤務時間を減らし、かつ社員さんの数を増やすというのは難しいと思います。レストラン、特にチェーン店なんて、需要を増やすのが難しい。個人の食はどんどん多様化している一方、人口の総数は変わらない。消費が冷え込んでいる今、複数店舗の売り上げを維持するだけでも大変です。

注文をタブレットに切り替えたりくらいの効率化はできますが、セルフサービスの部分を増やしたり、メニューを減らしたりなどのコストカットは、やり過ぎれば離れる客も出てきます。

バイトテロの問題で、「社員の数が少ないからだ」「バイトの給料が少ないからだ」みたいなコメントも多くみました。社員の数が少ないから、これはある程度的を射たコメントではあるでしょう(バイトの給料が少ないから?というのは良く分かりません)。ですが、チェーンのファミレスで働きたい人がどれだけいるのか。じゃあ、給料を上げて働きたい人を増やそうといった時の原資はどこにあるのか。いろいろ課題があります。

個人的にはチェーン飲食店の多くで、働く環境をより良くし、給料も上げるべきだと思いますが、かなり抜本的にやらないと、良い働き手は雇用できないのではないでしょうか。私が今、飲食業界に進むとしても、多少給料が低くてもチェーンには行かずに、個人経営のカッコいいレストランを選ぶでしょうしね。

問題点②ネットリテラシー

上で、飲食業の大変さを書いてきましたが、バイトテロの問題はこちらの方が大きいと考えています。

バイトテロの動画に対し、いくつかのテレビニュースで「こんなバカな若者は許せん!損害賠償請求もきっちり行うべきだ!」みたいな論調を見かけました。

気持ちは分かります。自分が普段使っているお店で、不衛生な行為が行われていたら嫌な気持ちになります。飲食店の経営者にとっては、イメージダウン、そして売上の低下につながる許せない行為でしょう。経営者に同情して怒りが込み上げてくるというのも分かります。

かと言って、バイトテロの動画をSNSにアップしたバカな若者に、損害賠償を請求するというまではどうなのかなぁと思うわけです。これはバイトテロだけでなく、ちょっと前にあったコンビニの商品を購入前に食べたり悪戯したりする動画をアップする行為についてもそう。

やっぱりそういう行為をする人はバカなんです。そしてバカであり、無知なんです。おそらく、ネットでこういう事をしていけないよ、と、しっかり教えられていないんじゃないでしょうか。

人を傷つけてはいけない、人のモノを盗んではいけない。こうしたことは少なくとも10代後半になるまでには、自分や近くの人が実際に犯してしまったり、被害者になることで、実感として理解できる。子どもにはケンカだったり、なんだったり、小さな失敗をする機会が与えられているのです。

ですが、ネットだと1回目の失敗が、とんでもないことになる可能性が多い。カメラとウェブという、拡張性の高い魔法の道具を渡されて、ちょっと悪ふざけして遊んでやろうと思ってした失敗が、社会的制裁を科される事態になったり、大企業の株価を低下させる事態になったりしてしまう。

そこへの想像力がまだできていない。もしくは皆でつるんだ時、若気の至りでお酒が入った時などに気が大きくなって、バカな行為をアップしてしまう。

バイトテロの動画をアップした人の多くは、大した数は投稿していないと思います。バズることを求めて過激な表現をするYoutuberはどんどん罰すれば良いと思いますが、バイトテロの動画をアップした人は、むしろバズることまでは考えてなかった人も多いでしょう。仲間からバカだな、コイツ面白いなと思ってほしかったくらいでしょう。

今は一億総発信の時代ですから、ネットリテラシーの教育が適切に行われるべきです。多少はやっていると思います。ですが、ネットリテラシーを適切に教えられる教育者がどれだけいるでしょうか?

とはいえ、バイトテロの被害にあった企業の損害は非常に大きくなる。ここはやはり、企業も防衛策を講じる必要はあるでしょう。それが、自分たちと、リテラシーのない若者を守ることにつながると思います。

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